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違憲立法審査について [憲法]



 違憲立法審査について、本を読んで、関心を持ったところをメモしてみた。
 違憲立法審査というように、立法を審査するのであるから、何か事件が起こってから、始めて訴訟が起こせるのでは、違憲立法審査の条文の意味がなくなってしまうのではないかとの素朴な疑問から、下記のようなことに目がとまった。
特に、武力の行使に関わるものは、その結果が非常に致命的なものになるので、事件が起こってからでは遅いのである。
 そこで、立法的解決を待たなくとも、解釈で十分救済を図ることが可能ではないかと考えるのであるが、今後の訴訟で、そこらへんを俎上(そじょう)に載せてほしいと思う。
 法律の施行を仮処分で停止し、本案で、法律の無効を宣言する。
 これによって、一般的効力が生じ、この法律に誰も拘束されないとし、政府及び国会には、後始末として、無効の法を削除し法整備を義務づけるものとして欲しい。
 従来の法律上の争訟的な考えでは、違憲立法審査の存在意義を失わせてしまうと思われるからである。
 特に、憲法9条等は、生命に関わる重要なものであるからである。

 違憲立法審査の訴訟では、憲法学者、民事、行政、刑事の訴訟法学者、弁護士、その他専門知識を持ち寄って協力して対応してほしいと願うものである。


以下要旨メモ


 
違憲立法審査の一般効力説 何人に対しても効力を生ずる。法令が全てに対して無効となる。


 宮沢俊義の注釈書では、憲法裁判所の性格は、抽象的訴えを許すには、憲法裁判所について憲法上の規定が別途必要とする説を採っている。
法律で定めれば良いとする説や何人も解釈の確定を求めてこの条項のみに基づいて出訴できるとする説がある。
 最後の説は、警察予備隊違憲訴訟で最高裁が否定したようである。

 現行憲法のままで、裁判の積み重ねにより類型化を図り、違憲の明白性、案件の重大性、緊急性、救済の実効性等により、早期に裁判所の救済が与えられるよう解釈されていくべきと思われる。
 今回の安保関連法案は、明白に憲法の明文規定に反し、国民への影響は重大であり、緊急性があり、戦地で死亡してからでは、また、戦争を引き起こして日本に空爆がなされてからでは、救済の実効性がないからである。


 行政事件訴訟法の注釈書では、無名抗告訴訟とか、抽象的規範統制訴訟として、議論されており、一部下級審で、政省令、条例について認めたものがある。

 救済に欠けてしまう恐れの法理=既成事実の進行、執行不停止原則・事情判決制度等があるので、早く無効判決を出す必要がある。

 行訴法3条の処分性の有無、紛争の成熟性を緩やかに解して救済を図る最高裁の判断(都市計画事業に関して)は高く評価されている。
 早い機会に、裁判所の救済を求められることによって、裁判所の救済の実効性が失われるのを防げる。

参照資料
・法律学大系コンメンタール編1 日本国憲法 宮沢俊義 著 日本評論新社
・条解 行政事件訴訟法 第3版補正版 南博方・高橋滋 編集 弘文堂

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