生活保護費減額防止で弁護士会が動いた。 [人権]
昨日のテレビ朝日の報道ステーションで、弁護士会が電話聞き取りその他で実態を調べ、生活保護者と厚生労働省へ生活保護費減額防止を訴えたと報道した。
もうこれ以上削れるところはないという受給者の声も伝えていた。
主な論点は、生活保護費の減額が憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活の保障」に違反するというものだ。
私もそう思う。
生活保護費の減額は許してはならないと思う。
受給者の苦しみはどれほどのものになるか、容易に想像がつく。
それはあってはならないことだと思う。
また、現受給者が、何とか生き延びても、少子高齢化の国が更に少子高齢化してしまうことに拍車をかけると思う。
何故(なぜ)生活保護費を削る動きになってきたかというと、生活保護水準の基準が、所得の低い方から10パーセントの人たちの所得水準に生活保護水準をあわせる基準があるから、それに従うと、生活保護費の切り下げが必要になるということらしい。
この点で二つほど、指摘したい。
いずれも過去に触れたことがあるものである。
一つは、年金と最低賃金と生活保護の均衡の問題で、生活保護より、年金の方が低くなっているものがある、生活保護より最低賃金の方が低くなっている場合がある。
農林水産業やその他の個人事業主が、事業用資産があるがため、生活保護を受けられないが、生活はかなり苦しいものがある。
以上の問題を解決しなければならないと指摘したことである。
これは、生活保護を切り下げて他の低所得の生活に合わせろという趣旨で書いたものではない。
生活保護以外を健康で文化的な最低限度の生活ができるようにすべきだということである。
その一つとして、資産税等を減免すべきだと主張してきている。
今回、その逆の方向に生活保護者の生活を苦しめる方向へ動こうとしている。
これは、まさに憲法第25条に違反するものといわざるを得ないと思う。
もう一つは、年金を賃金にリンクして、賃金が下がれば、物価が上がっても、年金を下げるというものである。
これは、生活費を問題とするのだから、給与決定の考え方として、マーケットバスケット方式により物価等を調査して、必要な給与を決定しようというもので、年金もこの考え方により、物価を見て、生活費を積み上げて決定しなければならない。
したがって、物価が上がったら、年金を上げなければならない。
税金が上がれば、年金を上げなければならない。という趣旨で書いたものである。
同様のことが、この生活保護水準の基準にもいえるのではないか。
生活保護であるから、物価を反映した、生活費の積み上げにより水準を決定しなければならないと思う。
次に、生活保護費のような扶助費は、経費の性質を義務的経費と投資的経費とに分類すれば、国家公務員の給与のように、義務費になるので、こちらを削って、投資的経費を増やすということは、あり得ない。
現在はどうだろう。
アベノミクスで税収が上がったというのに、何故(なぜ)生活保護費を削るのだろうか。
成長戦略で、公共事業を増やしたり、賃金を上げたら補助金を出すとか、ばらまきをしていたり、更にしようとしている。
これらは、義務的経費ではなく、投資的経費に分類されるものである。
義務的経費を削って、投資的経費を増やすことは許されないと思う。
更に取り巻く状況は、消費税が上がり、更に上げようとしており、物価は上がり、更に2パーセント以上に上げようとしている。
公共料金も次々と上げている。
公務員給与もボーナスも上げられている。
国会議員や大臣の報酬や経費やボーナスも上げられているのではないか。
このような状況の中で、年金は削られ、生活保護は削られようとしている。
これは、誤った方向であり、政策として誤っているし、憲法に違反する内容であるといわざるをえない。
弁護士会には、現受給者及び明日は我が身の低所得の国民のために頑張ってほしい。
また、日本全国の弁護士会も動くよう全国の活動として取り組んでほしい。
更に、人権擁護は、法務省の明示的業務でもあるので、協力をしてもらい、国内部で働きかけて、低所得者の健康で文化的な最低限度の生活以上を守れるよう連携してほしいと思う。
2017-12-29 00:01